aurea mediocritas

日々の雑感や個人的な備忘録

愉快な仏語2 -時制について-

 

 


1.直説法現在時制:      j'aime

私は今という広がりにおいて愛するし、愛してきたし、これからも愛していく。そういう習慣の中に私は巻き込まれている。


2.直説法複合過去時制:  j'ai aimé 

私は愛した。

(私は過去の時点で愛して、その影響が何らかの形で、いまここまで来て、今に至るそういう経験を今持っている。だからいまそれについて話している。)


3.直説法単純過去時制:  j'aimai

私は愛した。(文語)

(2の複合過去時制とは違って、今との断絶があって、現在と関係が希薄な出来事の生起だからフィクションで使える。)


4.直説法半過去時制:    j'aimais

私は過去のある時点において、愛しているという状況におり、その過去の時点ではそこが現在として広がっておりました。


5.直説法大過去時制:   j'avais aimé

私は何らかの形で指定された過去の時点で、すでに愛してしまっていました。


6.直説法前過去時制:    j'eus aimé

私は3の単純過去時制で示されたその時点で、すでに愛してしまっていました。


7.直説法単純未来時制:  j'aimerai

私は未来において愛するでしょう。


8.直説法前未来時制:     j'aurai aimé

私は7の単純未来時制で示されたその時点までに愛してしまっているでしょう。


9.直説法近接過去時制: je viens d'aimer

私は愛して来たところだ。


10.直説法近接未来時制: je vais aimer

私は愛しにいくところだ。


11.条件法現在時制: j'aimerais

私は4の半過去時制を用いて、あたかも現在のこととして構想された反実仮想世界における未来では、愛していることでしょう。


12.条件法過去時制:   j'aurais aimé

私は5の大過去時制を用いて、あたかも過去のこととして構想された反実仮想世界における未来では、愛してしまっている(=過去として構想された反実仮想世界における8の前未来)ことでしょう。


13.接続法現在

主節が現在時制で、従属節内部が主節と同時あるいは主節より未来。

Il est nécessaire que tu ailles chez tes parents.

君は君の両親の家に行く必要がある。


(条件法は明確にアンリアルなことを述べる叙法であるのに対して、接続法は、内容がリアルなことかアンリアルなことかどうかということはさしあたり関係なくて、話者の頭の中で考えられたことについて述べる叙法。)


14.接続法過去

主節が現在時制で、従属節内部が主節の時点までの過去に完了していること。

Je regrette que tu ne m’aies pas dit la vérité.

君が真実を言ってくれなかったことを残念に思う。

 

15.接続法半過去

主節が過去時制で、従属節内部が主節と同時あるいは主節より未来。


Je doutais qu’elle eût raison.

彼女が正しいということをを私は疑っていた

 

16.接続法大過

主節が過去時制で、従属節内部が主節の時点までの過去に完了していること。

Je regrettais qu’il fût parti.

彼が出発してしまったことを私は残念に思っていた。


17.条件法過去第二形

16の接続法大過去とまったく同じ形が12の条件法過去の代わりとして用いられることがある。条件法過去の代わりに用いられる接続法大過去のことを条件法過去第2形(17)と呼ぶ。

 

12: Si j’avais étudié plus sérieusement,j’aurais réussi au concours d’entrée.

17:Si j’avais étudié plus sérieusement,j’eusse réussi au concours d’entrée.

(もっと真剣に勉強していたら、入学試験に受かっていただろう。だが、そうしなかったので実際には落ちた。)


つまり、条件法の過去の第2形は、接続法の大過去と見かけ上、形が一緒なので、条件法過去なのか接続法大過去なのかを見分けなければならないということ。とはいえ、接続法は通常従属節の中で使われるものなので、見分けは普通つく。