aurea mediocritas

日々の雑感や個人的な備忘録

フランス語のノート

 

 

 

1. 【表現】Le petit matin 早朝。たとえば、Pour attendre le bus dans le froid du petit matin.[バスを待つために早朝の寒さの中で]


2. 【発音】Maximumのumの発音は、ラテン語起源なので、オムとなって、全体はマクシモムとなる。マクシマmaximum のフランス語発音はマクシモム。ミニマムminimumのフランス語発音はミニモム。ミニマムもマクシマムもラテン語由来なのだ。Je fais le maximum: ベストを尽くします。


3. 【完了不定詞それ自体に時制はない。】Après avoir dîné, nous regarderons un film.[夕食を食べ終わったら、映画をみよう。]この場合は、完了不定詞が前未来をあらわしている。つまり、完了不定詞だからといって常に過去時制とは限らないのだ。つまり、完了不定詞それ自体に時制はない。


4. 【条件法の叙述用法は推量を表す。】条件法現在の条件節がないやつのことを条件法の叙述用法という。この場合は、推量を表すことが多い。たとえば、Son pourrait être japonais, mais en réalité, il est tahitien.[彼の名前は日本語でもありえただろうが、実際には彼はハイチ人である。]また、時制の一致で過去における未来を示すために条件法になっているのなら推量や仮定とは何の関係もないことも覚えておこう。


5. 【単語】veilleur。ビル・工場などの夜警, 夜間保安員, (ホテルなどの)夜勤係 (= veilleur de nuit)


6. 【表現】faire la vendange ブドウの取り入れをする


7. 【表現】日露戦争Guerre russo-japonaise


8. 【表現】Voisin de palier パリエは踊り場。全体で、「同じ階のひと」


9. 【表現】vin pétillant...「微発泡性ワイン」。でも、総称的に「スパークリングワイン」と言う場合は、vin mousseux になる。


10. 【大過去の基本】J'ai enfin lu le livre que j'avais acheté il y a trois ans.3年前に買っていた本を、ついに読んだ。


11. 【表現】vis-à-vis de ~ を前に(して)、~の面前で


12. 【フランス語では、時・条件を表す副詞節では、未来形の代わりに現在形を用いない。】「時・条件を表す副詞節では、未来形の代わりに現在形を用いる」という英語のルールは、フランス語にはない(si は除く)ので、単純未来形でOK。たとえば、dès que cela sera possible légalement。それが法的に可能になったらすぐに。dès que + 節 ~するや否や。この文では条件節の中で未来形が使われている。


13. 【単語】svelte、エレガントな。


14. 【学校に行くの省略表現】j’ai fait des études de droit, Sciences Po。この文の省略されている部分を補うと、j’ai fait des études de droit, et j'ai fait Sciences Po。faire Science Po という表現は、特定の超有名校の場合、faire + 学校名で、~に通う、行くとなる。この場合、学校名(Science Poなど)には冠詞は付かない。ちなみに、Science Po 、つまりパリ政治学院は、卒業生にシラクミッテラン、オランド、マクロンシモーヌ・ヴェイユエマニュエル・トッドジュリアン・グラックなどがいる超有名校。


15. 【表現】Un groupe terroriste a revendiqué cet attentat-kamikaze. あるテロリスト集団がその自爆テロの犯行声明を出した。


16. 【表現】être majeur、成人であること


17. 【知識】ちなみに、パリで一番大きいアジア系コミュニティは13区にある。


18. 【単語】insalubre。健康によくない, 不健全な, 不衛生な


19. 【表現】avoir à 不定詞で「しなければならない」


20. 【文法】en の本質は、<不特定な直接目的語>に変わるということ。つまり、 不定冠詞・部分冠詞・数量表現を伴うものに代わるのだ。<il y a ~>には動詞 avoir が使われており、<~>の部分は avoir の直接目的語。だから、il y en aとなる。


21. 【表現】faire de la figuration: 端役を演じる。


22. 【plusの発音】plus は動詞にかかっているとき、発音は「プリュス」となる。動詞にかかっているときむしろ「プリュス」になるのだ。


23. 【知識】ニューカレドニアにはメラネシア系先住民のカナック人がいる。


24. 【engagerとはなにか】Engagement の語源は担保や抵当を意味するgageである。そのgageを預けることを意味する動詞がengagerであり、その名詞がengagementである。


25. 【表現】faire le ménage だと家事をするだが、faire des ménages だと、ハウスキーパーとして働くという意味になる。


26. 【過去の状態と習慣的反復を区別せよ】Ma mère, qui ne parlait pas français, me répétait toujours: Étudie, étudie si tu veux avoir une bonne situation plus tard.この文の最初の半過去は過去の状態だが、二番目の半過去は過去の習慣的反復になっている。


27. 【未来形と近接未来のちがい】Mon fils va être un grand écrivain.[私の息子は(当然)大作家になるだろう]Mon fils sera un grand écrivain.[私の息子は(ことによると)大作家になるだろう]


28. 【ce dont】Prenez ce dont vous avez besoin et jetez le reste.必要なものは取って他は捨てなさい


29. 【形容詞節のcomme】Les "dame" comme dit ma grand-mèreは、comme以下が形容詞節になっていて、普通は副詞節になるので非常に珍しい例


30. 【部分冠詞の起源】J'ai pris de ses nouvelles.「私は彼女の近況の一部を得た」は非常に珍しいdeの使い方である。このdeは、その後に続く名詞の「一部」を示す用法。部分冠詞によく似ている。deがこの意味になるのは、[de + 限定辞 + 名詞]という形の場合だけ。限定辞とは、所有形容詞や指示形容詞や冠詞のこと。ただ、このdeのあとにもし定冠詞のlaがきたら、<de la + 名詞>となって、それは事実上部分冠詞である。よって、このdeのあとにlaはこない。なぜなら、その場合、それは部分冠詞ということになるから。つまり、このdeは部分冠詞と密接な関係がある。というか、部分冠詞の起源はこの用法のdeなのである。Tu veux encore de ce gâteau? (このケーキもっと欲しい?←ケーキの一部を切り取って食べるからこの用法のdeが付いている。)も、[de + 限定辞 + 名詞]という語順になっているし、Il a mangé de tous le plats. (彼はどの料理にも手を出した。←全ての料理の一部を食べたのであって、全ての料理を食べたのではない。)も、[de + 限定辞 + 名詞]という語順になっている。


31. 【単語】動詞recruterは、名詞recrue(f.)「新兵」から派生した語で「(兵員/人)を募集する」という意味。


32. 【表現】C'est facile comme bonjour. (めちゃめちゃ簡単だ。)


33. 【表現】Je vais lui rendre au centuple ce qu'il m'a fait!(やられたことは100倍にして返してやる。)


34. 【表現】À la fin du siècle, le commerce triangulaire des esclaves a pris son essor.[その17世紀の終わりには、奴隷の三角貿易が飛躍的に拡大しました。]


35. 【知識】L'esclavage a été aboli en 1794, puis rétabli par Napoléon et définitivement aboli en France en 1848.(フランスにおける奴隷制は、1794年に廃止され、その後ナポレオンが復活させましたが、1848年には、最終的に廃止されました。)


36. 【知識】2004年、グアドループ出身の作家マリーズ・コンデは、トビラ法(2001年)が奴隷制を人道に反する罪と認めたことを受けて創設された「奴隷制記憶委員会」の初代委員長となる。委員会の呼びかけによりジャック・シラク大統領が5月10日を奴隷制を記憶する記念日と定め、2006年にはコンデ、シラク大統領列席のもと第一回の式典が催された。


37. 【単語】Après avoir achevé ses études de journalisme, il a postulé dans plusieurs médias, décrochant un stage par-ci, des piges par-là.(ジャーナリズムの勉強を終えた後、彼はこちらで研修を受け、またあちらでちょとした仕事をこなすといったことをしながら、いくつものメディアに求職の志願をしました。)décrocher (フックなどから)外す、(賞・仕事などを)手に入れる


38. 【単語】atout (トランプの)切り札という単語は、àとtoutからできた。


39. 【表現】Il était toujours partant pour remplacer au pied levé un journaliste absent.(être partant pour 名詞/inf. ~に乗り気である。partantは元々partirの現在分詞)。(Elle est toujours partante pour une bière. 1杯のビールなら彼女はいつでも乗り気だ。)(au pied levé :上げられた足において=即興で、準備無しに、予期せず)


40. 【表現】ne rechignait pas à travailler。動詞rechignerは主に話し言葉で使われる。rechigner à + モノ/inf. ~を嫌がる、渋る


41. 【知識:アルジェリア系の俳優】Mais de nos jours, de grands acteurs d'origine algérienne comme Tahar Rahim, Leïla Bekhti, Reda Kateb, Biyouna tiennent des rôles non pas de Français d'origine maghrébine mais sont auditionnés et engagés au même titre que n'importe quel autre artiste français, pour leur talent et leur personnalité.けれども今では、アルジェリア系の偉大な俳優たち、たとえばタハール・ラヒム、レイラ・ベクティ、レダ・カテブ、ビユーナといった俳優たちは、彼らの才能や個性ゆえに、マグレブ系人の役を演じるばかりではなく、ほかのどんな出自を持ったフランス人俳優たちとも同じように、オーディションを受けたり、実際起用されたりしています。ちなみに、ビユーナ以外は全員フランス人である。ちなみに、Omar Sy(オマール・シー)という俳優が出ているサンバという映画がとてもいい。あと、レダ・カテブは、ジャンゴ・ラインハルトに関する2017年の伝記映画、『永遠のジャンゴ』にも出演している。『永遠のジャンゴ』は、第二次世界大戦中、ナチス支配下のフランスを舞台に、ロマ出身のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの戦時秘話を描いた伝記映画。


42. 【単語】revendiquer(権利として)…を要求する。revendiquer sa part d’héritage[自己の相続分を要求する]


43. 【単語】autochtone: 土着の, 原住の


44. 【単語】instigateur: 扇動者、推進者


45. 【表現】aux alentours de qc:


46. 【表現】au cours de qc。 ~の間に, 途中で(Au cours de son voyage en France, il a visité beaucoup de musées.[彼はフランス旅行中に多くの美術館を訪れた]


47. 【単語】historien érudit: 学識豊かな歴史学者。éruditが名詞なら、学識豊かな人, 碩学(せきがく)


48. 【知識】ハイチ、フランソワ・デュバリエによる独裁が1960年代にあった。ハイチの作家ダニー・ラフェリエールは非常に有名な作家。


49. 【文法】Dans cette ville où existait déjà une communauté haïtienne.(これが倒置されているのは、主部が長いから。)


50. 【種類の不定冠詞】Sa mère cuisinait les plats préférés de la famille accompagnés d'un bon rhum local.かずえられないはずのラム酒不定冠詞unがつくのは美味しい種類のラム酒だから。つまり種類だとかぞえられる。


51. 【表現】Son couple a volé en éclats.[彼女の結婚は粉々になって飛び散った。]


52. 【表現】L'éclat de ses yeux.[彼女の目の輝き。]


53. 【表現】L'éclat d'un saphir.[サファイアの輝き。]


54. 【表現】Un week-end sur deux[2週末につき1週末。]


55. 【表現】24 heures sur 24[24時間につき24時間(24時間営業)]


56. 【ensemble が副詞であることの意味】C'est simplement que notre route (ここにvécuあるいはsuiviの省略)ensemble(←副詞) prenait fin.[それは単に私たちの共に歩いてきた道が終わろうとしていた。]ちなみに、ここでプルネが半過去になっているのは離婚に至る途上にあり、徐々に終わっていくニュアンス。


57. 【強調構文】Est-ce à cause de problème culturel que vous vous êtes séparés?[離婚したのは文化の問題のせい?]


58. 【知識】フランスでは両親が離婚した場合、親権(la responsabilité parentale )は共同で所有される。


59. 【知識】マリ共和国はフランス語圏である。


60. 【知識】フランスには家族呼び寄せ(ルグルップモン・ファミリアル)という制度がある。EU圏外の人が最低18ヶ月以上フランスで働く場合にはこの制度を利用する。規定の書類があって、住居と収入の保証があって子供が18歳以下なら、移民労働者は家族をフランス国内に呼び寄せることができるのだ。


61. 【単語】Roissy (ロワシー)というのはシャルルドゴール空港の別名。


62. 【表現】Depuis le Mali[マリ共和国から]


63. 【文法:Ayantの省略】(Ayantの省略) sa carte de séjours en poche, elle s'est installée avec son époux dans le banlieue nord de Paris.[滞在許可証をポケットに入れて、彼女はパリの北の郊外に夫と住み着いた。Pocheに冠詞がないのは具体的なポケットではなく抽象的な所有を表すから。]


64. 【表現】Nous nous sommes retrouvés devant la gare.[私たちは駅の前で落ち合った。]


65. 【前置詞comme 】Comme +無冠詞名詞のときはとして。Comme babysitteur ベビーシッターとして


66. 【単語embaucher】Samia a été embauchée comme vendeuse.[サミアは販売員として採用された。]


67. 【単語cadre】Elle aime son cadre de travail.[彼女は自分の労働環境が好きだ。]


68. 【知識】HLM= Habitations à Loyers Modéré


69. 【表現】En contrepartie [その代償として]


70. 【表現】Très tard le soir [とても夜おそく]


71. 【表現】Elle pourra se rapprocher de l'aéroport.[彼女は空港に近づくことができるだろう。]


72. 【表現】Dans une des villes nouvelles autour de Paris qui poussent comme des champions.[きのこみたいに生えてくるパリの郊外の新都市(1970年代に開発された新都市のこと)のひとつの中で。]


73. 【複数形にすると具体的になる】一般的にいって、抽象名詞を複数にすると、具体性を帯びる。例えば、vacanceは、不在とか空白とか無という抽象名詞だがこれが複数形になってvacancesになると、バカンスの意味になる。vacanceの形容詞はvacantである。


74. 【知識】フランス語のコンフェティは、イタリアのお菓子ドラジェ。


75. 【知識】フランス語のtenez!がtennisの語源で、フランス語でテニスはjeux de pommes なのに、今ではフランス人もtennisという語を使う。


76. 【知識】L'Enceinte de Thiersパリ全体を取り囲んでいた城壁がティエールの城壁


77. 【知識】je le kiffe。口語で好きを意味する動詞キフェはアラビア語経由。


78. 【表現】Établissement hôtelier で、ホテル的な施設


79. 【表現】Milliers de kilomètres :何千キロも


80. 【単語】onéreux, se。費用のかかる, 高くつく。loyer onéreux[高い賃貸料]


81. 【知識】1756年の1月に生まれたのがモーツァルト。1755年の11月に生まれたのがマリー・アントワネット。二人は2ヶ月しか違わない。


82. 【表現:Aussi bien A que B】Il s'est fait des copains aussi bien au lycée que dans la résidence.[彼はうまく友達をつくった。寮でと同じように高校でも。]


83. 【表現】À part le climat, un peu trop froid et brumeux à son goût, il n'a pas problème d'adaptation.[天候を別とすれば、というのもそれは彼の好みからすれば寒すぎしモヤが多すぎるのですが、適応に問題はありませんでした。]


84. 【文法】siは、否定疑問文に肯定で答えるとき。たとえば、Enfin, si.いいえ、やっぱりそうではありません。このenfinは、「いいえ、もっと正確に言えば」というニュアンス。


85. 【表現】Sa famille lui manquait ainsi que le soleil et l'accent de Thaiti.[彼の家族と太陽とタヒチの口調が彼は恋しかった。]これは、英語のI miss youと語順が逆であることに注意。つまり、英語のI miss you.がフランス語ではTu me manque.の語順になるのだ。


86. 【表現】Depuis deux ans, il a été embauché avec un CDI dans une boîte de production qui fait des reportages sur la société et traite aussi les informations globales.[2年前から、彼はある制作会社で正社員として雇用されています。その会社は、社会についての様々なルポルタージュを制作し、またワールド・ニュースも扱っています。]。il a été embauché で彼は採用されたという意味で、CDI は、contrat à durée indéterminée 期間を定めない契約なので、正社員。


87. 【知識】CDD: contrat à durée déterminée 有期契約。これは非正規雇用。それに対して、CDI: contrat à durée indéterminée 無期契約。これは正社員。たとえば、il faut accumuler les stages avant d'avoir un travail en CDD et, avec de la chance, en CDI.[多くの研修を重ねた後、有期の仕事に就き、運がよければ正社員になります。]みたいに使う。


88. 【表現】Sa connaissance de l'arabe lui permet de faire des reportages dans les banlieues avec une forte population immigrée où il est reçu sans hostilité et il peut interviewer les jeunes qui se livrent plus facilement à lui.[アラビア語が話せるという強みのおかげで、移民系の住民がかなりの部分を占める郊外でも、彼はルポを制作することができます。彼はそこで、敵意なく受け入れられるし、より簡単に打ち解けてくれる若者達にインタビューすることだってできるのです。]ここは、qui se livrent plus facilement à lui.がポイントで、 se livrer à Aで、[Aに打ち解ける、身を任せる。]でも、代名動詞ではなく、単なる動詞の方のlivrerの意味は配達する、渡すである。この名詞形がlivraison。ちなみに、payable à la livraison だと、配達において支払い可能、つまり、代引き可能という意味になる。Elle ne se livre pas facilement.だと、[彼女は簡単には打ち解けない]という意味。


89. 【表現】un jour prochainの意味は、次の日ではなく近いうちになので注意。

 

90. 【justeに注意】il avait vu juste.だったら彼はやはり正しかったのだという意味になるが、この場合のjusteは副詞で「正しく、正確に」である。それが大過去に置かれているのだから直訳は「彼は正しく見ていた」になる。ただし、副詞のjusteは「ちょうど」の意味も、ある。たとえば、Il a 100 ans juste. [彼はちょうど100歳だ。]はその例。形容詞のjusteは「正しい、公平な、正確な」という意味で、例えば、Les professeurs doivent être justes. [先生は公平でなくちゃならない。]がそう。他にL'addition n'est pas juste. [勘定が正確じゃない。]などがある。副詞のjusteと形容詞のjusteを分けて考えること。


91. 【単語】intégrisme :キリスト教イスラム原理主義。ここではイスラム原理主義のこと。


92. 【単語】information :情報という意味だが、複数形で「ニュース番組」。略してinfoと言う場合も。たとえば、les infos sportivesだとスポーツニュースという意味。


93. 【表現】sur le terrain: 現場で


94. 【表現:se sentir mal à l'aise】Mais depuis quelques année, ave la montée de l'intégrisme en France, il se sent mal à l'aise dans sons pays.[けれども何年か前から、フランスにおけるイスラム原理主義の盛り上がりと共に彼は自分の国にいながら居心地の悪さを感じています。]


95. 【表現:主語が長いfaire queの文】Les récents incidents, injures, attaques visant la communauté juive font qu'il se pose des questions sur son avenir.[ユダヤ人コミュニティーに向けられた最近の事件、侮辱、攻撃などの結果、彼は自分の将来についていろいろ自問しているのです。]


96. 【表現: être pour beaucoup dans 】Les réseaux sociaux sont aussi pour beaucoup dans la propagation de cette forme de racisme.[ソーシャル・ネットワークもまた、こうした形の差別主義の伝搬と大いに関係があります。]être pour beaucoup dans A: Aと大いに関係がある、~において重要な役割を果たす


97. 【文法: 名詞は複数形にすると具体的になる。】Il n'a jamais souffert de ses origines.ここでoriginesが複数形になっているのは、抽象的な事実ではなく具体的な出自やルーツや文化や慣習に悩んだことがないということ。


98. 【文法】フランス語の複合過去はもともと現在完了の用法しかなかった。そこに時点の指定が副詞句によって付くことで、過去用法が出てきた。


99. 【表現】Elle se sentait incomprise. 自分が理解されていないと感じていた。 は<~>に形容詞がきている。ちなみに、副詞もこれる。il se sent mal à l'aise.は副詞句が来ている。

 

100.【表現: à son image,】Woody Allen décrit l'homme juif à son image, triste, dépressif, en désaccord avec son époque. [彼は自分をモデルにして、ユダヤ人を描きます。悲しげで、鬱っぽくて、自分が生きる時代に合っていない人間を。]


101.【表現:queが2つ出てくるイリヤの文の否定】il n'y a pas qu'en France que l'antisémitisme est en recrudescence.[反ユダヤ主義が再燃しているのはフランスにおいてだけではない。]


102.【知識】『質屋』を取ったハリウッド映画監督のシドニー・ルメットユダヤ人である。


103.【知識】2004年、イスラエルシャロン首相は、フランスにいる全ユダヤ人に、襲撃から身を守るためにイスラエルに移住すること(アリア)を呼びかけた。これは結局フランスの抗議によって撤回された。哲学者のミシェル・オンフレは、「フランスは世間で言われているほど反ユダヤ主義ではない」と微妙な言い方をしている。


104.【表現】J'ai cédé ma place à une femme enceinte. [妊婦さんに席を譲った。ここで所有冠詞がつくことに注意。]


105.【表現】La lutte contre la pauvreté est à l'ordre du jour. [貧困に対する戦いは、今日的な意義がある。]


106.【知識】juifs de confession:信仰を持ったユダヤ人。というのも、フランスにいるユダヤ人の約半分は無宗教。そもそも、confessionは、告白、白状、信仰告白という意味で、信仰告白ユダヤ人は、信仰を持ったユダヤ人という意味になる。


107.【文法:目的を表す<pour que ~>では、queの節の中が接続法になる。】たとえば、il faudrait que la situation se dégrade beaucoup pour que nous pensions à l'alya.[私たちがイスラエルに移住するためには、状況がずっと悪くなる必要があるだろう]このとき、pensionsは、penserの接続法現在形。ちなみに、il faut ~のque節の中もse dégradeは接続法になっている。他にも、Je t'attendrai pour qu'on aille au concert ensemble.[一緒にコンサートに行くために私は君を待っている。]このailleは接続法現在形。なお、ensembleは副詞でailleにかかっている。


108.【知識:ユダヤ系の映画人たち】Il y a aussi beaucoup de cinéastes et d'acteurs juifs, et la question juive est abordée dans les films.[やはり沢山のユダヤ系映画人や俳優がいますし、作品の中ではユダヤ問題も取り扱われています。]Par exemple le film Ils sont partout de Yvan Attal sur l'antisémitisme en France. Il se demande pourquoi le mot <juif> est devenu une insulte.[例えば、フランスにおける反ユダヤ主義を描いたイヴァン・アタルの「彼らはどこにでもいる」。その中で彼はなぜ「ユダヤ人」という語が悪口になったのか自問します。]On peut citer des films comme Les Aventures de Rabbi Jacob, une comédie culte indémodable du cinéma français où les préjugés antisémites affluent, ou Tellement proches, introduction caricaturale d'une conversion à la religion juive et les habitudes qui vont avec, et même Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu? où l'un des gendres est juif, ce qui prête à des vannes à répétition.[また、古びることのないフランスのコメディ・カルト映画である「ニューヨーク↔パリ大冒険」には、反ユダヤ的な偏見が溢れていますし、「こんなに似てる」では、ユダヤ教やそれに伴う慣習への転向が戯画的に描かれています。また「最高の花婿」では、花婿の一人がユダヤ人であり、そのことが繰返し冗談のネタとなるのです。]


109.【知識:フランス映画についてはこのページのバックナンバーを参照】https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/57


110.【知識:ロマについて】On parle beaucoup des Roms en France. Est-ce que ce sont des Roumains? Tu peux nous expliquer ça?[フランスにいるロマが話題になることが多いですけど、彼らはルーマニア人なんですか。説明してくれる?]- Oui, je vais essayer. Les Roms sont une population originaire du nord de l'Inde qui s'est déplacée à partir du 15ème siècle dans toute l'Europe.[はい、やってみましょう。ロマは、北インドに起源を持つ人たちで、15世紀以降にヨーロッパ全土へ移動しました。]Parmi eux, les Tsiganes, dont la musique est bien connue, se sont implantés en Europe centrale et orientale.[ロマの中でもツィガーヌ、その音楽はとても有名ですが、彼らは中央ヨーロッパと東ヨーロッパに定着しました。]Les Bohémiens en Bohême. On confond souvent Roms et Roumains.[そしてボヘミアンボヘミア地方(ドイツ語でベーメン地方)に定着したというわけです。ロマとルーマニア人はしばしば混同されます。]C'est une erreur, même s'il y a des Roms en Roumanie. L'EU a reconnu les Roms comme une minorité ethnique dont la particularité est de ne pas avoir de territoire.[しかしそれは間違いです。たとえルーマニアにロマがいるとしても。EUはロマについて、その独自性は領土を持たないことにある少数民族なのだと認めています。]ちなみに、フランスで有名なロマの映画は、ガッジョ・ディーロガッジョ・ディーロ(Gadjo Dilo)は1997年作成のフランス映画。トニー・ガトリフ脚本、監督。『ガッジョ・ディーロ』はロマ語で『愚かなよそ者』を意味する。映画の音楽が非常に良い。トニー・ガトリフ監督の父はアルジェリア人で、母はロマである。Tu peux nous en dire plus sur les populations nomades en Europe?[ヨーロッパにおける放浪の民についてもっと話してくれる?]-D'accord. Les Gitans sont les Roms installés en Espagne et au Sud de la France. [いいですよ。ジタンはスペインとフランス南部に定着したロマです。]Eux aussi sont un peuple nomade, et ils pratiquent souvent le métier de forains.[彼らもまた放浪する民族でヨーロッパでは彼らはしばしば興行師を職業としています。]C'est pourquoi on les appelle souvent gens du voyage.[彼らがしばしば「旅する人々」と呼ばれるのはそれが理由です。]Les Manouches, autre sous-groupe de Roms, vivent plutôt au nord de la France, au Luxembourg, en Belgique et au nord de l'Allemagne.[ロマの中のまた別のグループであるマヌーシュの場合は、フランスの北部、ルクセンブルク、ベルギー、そしてドイツ北部などで暮らしています。]Pour ces deux groupes, c'est surtout leur musique qui les caractérise: la musique gitane, le gipsy flamenco, comme le Gipsy Kings, et le jazz manouche de l'inoubliable Django Reinhardt.[これら2つのグループの場合、彼らを特徴づけているのはとりわけ音楽です。それは、ジプシー・キングスのようなジタンの音楽やジプシー・フラメンコであり、忘れがたいジャンゴ・ラインハルトの、マヌーシュ・ジャズなのです。]


111.【単語】bourg(ブール)町,  市場(★villeとvillageの中間)。書き言葉でよく用いられる。


112.【表現】Tu répugnes à te marier? 結婚するのは嫌なの?


113.【文法:感嘆文のポイント(感嘆の用法の場合、肯定文と否定文で意味の差はない。)】Quelle n'a pas été ma joie lorsque tu es née![おまえが生まれたとき、どんなに嬉しかったか。]感嘆の用法の場合、肯定と否定で意味の差はない。Quelle a été ma joie lorsque tu es née!とまったく同じ意味になってしまうのだ。Quelle n'a pas été ma surprise d'apprendre que..! と、Quelle a été ma surprise d'apprendre que ..!も同じ意味。


114.【事実を表すsi:「けど」「のに」と訳すsi】siは、仮定ではなく、事実を表すことがある。この場合、反復・対立・理由などの意味になる。たとえば、譲歩の意味だと次のようになる。si j'avais une légère appréhension avant de passer sur le siège du dentiste, j'ai été parfaitement soignée[ちょっと心配だったけれど、治療は完璧だった]これを、「もし心配だったら」と訳してはいけないのだ。他にも、Si j'avais bien fermé la porte, en revanche, la fenêtre était restée ouverte. Un voleur est entré dans la maison![ドアはちゃんと閉めたけど、窓は開けっ放しだった。泥棒が入った。]Si j'avis bien noté l'heure du départ, je n'avais pas vérifié l'aéroport. Je suis allé à Narita au lieu de Haneda.[出発時間には注意していたのに、空港を確かめなかった。羽田ではなく成田に行ってしまった]となる。


115.【表現】Les tremblements de ses mains trahissaient sa peur.[手の震えが彼の恐れを暴露した。]他にも、Seul l'accent du docteur trahit son origine étrangère mais la qualité des soins ne laisse pas à désirer.[ただ医師の発音だけが、彼が外国から来たのだと告げていますが、治療の質は、言うことなしなのです。]


116.【表現】il sait se faire discret。そもそも、savoir + inf : ~できる。~する術を心得ている、~するのが上手いというニュアンスで、そのあとに属詞が来ることができる。ここでは、属詞discret (人が)慎み深い、控えめな、が来ている。たとえば、Il lui a fait un complément discret.[彼はさりげなく彼女を褒めた。]Le parfum discret de la rose.[バラのほのかな香り]みたいに使う。「控えめ」というとすぐにmodesteを意識するが、それだけではない。


117.【表現:comme il l'entend:好きなように】il apprécie la liberté d'être son propre patron, de pouvoir organiser son emploi du temps comme il l'entend, et de rencontrer beaucoup de clients, la plupart du temps sympas.[彼は、自分が自らの雇い主であり、スケジュールを自分の好きなように決められ、沢山の、そしてその大半が感じがいいお客さん達と出会うという自由が、とても気に入っているのです。] 動詞は<entendre + inf.>「~することを望む」で、動詞organiserを中性代名詞leで受けている。


118.【文法:条件法過去のニュアンス(仮定節の省略)】Hakim me dit qu'il ne gagne pas beaucoup, pas autant qu'il aurait espéré.[ハキムが私に言うには、稼ぎはそれほどよくない、つまり彼が期待しただろうほどではない]。aurait espéré は条件法過去。siの節が省略されていて「もし事業を始めたときに具体的に期待していたとしたら、そのときに期待しただろうほどには稼いでいない」、ということ。もしここが、espérait になっていたら、かつて実際に金額を想像していてその金額ほどではない、ということになる。つまり、このとき事実としては事業を始めたときに稼げる具体的な金額は期待していなかったことが言外に言われているのだ。


119.【表現:arriver à inf:~することに成功する、うまく~できる】si on veut faire une carrière internationale, ce n'est pas en restant en Belgique qu'on va y arriver!の構造がわかるだろうか。<à inf.>の部分が中性代名詞 y になり、y arriver となる場合がある。例文としては、Tu as réparé ton imprimante ?[プリンター直せた?]Non, je n'y arrive pas.[いや、直せてない]などがある。他にも、J'arrive enfin à lire les kanjis mais je n'arrive pas encore à les écrire.[なんとか漢字は読めるようになってるけど、まだ書けるようにはなってない。]などがある。ここは、ce n'est pas en restant en Belgique qu'on va y arriver !であるが、これは、[à faire une carrière internationale]の部分が中生代名詞yに変わったと考えられる。だから、強調構文を元にもどすと、on ne va pas y arriver en restant en Belgique.となるのだ。つまり、「人がそうすること(=国際的なキャリアを築くこと)に成功するのは、ベルギーにいながらにしてではない」という直訳になるわけである。


120.【表現:un fait notoire:周知の事実】Il est notoire que le Président est mondialiste. 大統領がグローバリストなのは周知のことだ。


121.【知識:ベルギーについて】ベルギー人といえばイラストレーターというクリシェがフランス人にはある。Flamand:フラマン人は、ベルギー北部に住み、フラマン語を話す人々。ベルギー全体の60%。またフラマン語オランダ語の一方言とされている。Wallon:ワロン人はベルギー南部に住み、ワロン語を使う人たち。ワロン語は、フランス語の一方言とされている。ベルギー人の絵といえば、フィリップ・グルックの猫の絵と、エルジェのバンド・デシネと、ルネ・マグリットである。


122.【se devoir 当然そうすべきである: comme il se doitの形で非人称用法】J'ai une amie belge Claudie, dessinatrice comme il se doit, qui passe beaucoup plus de temps à Paris qu'à Bruxelles.[私のベルギー人の女友達、クローディーは、予想どおりイラストレーターで、ブリュッセルよりもパリで、はるかに多くの時間を過ごしている。] comme il se doitは「当然のことながら、予想どおり」という意味。se devoirは、当然そうすべきである。ここはcomme il se doitの形で非人称用法。フランスには、ベルギー人と言えばイラストレーター、というクリシェがある。devoirの非人称用法は、comme il se doit以外には現れることがない。


123.【文法:種類の冠詞について】イディオムであるfaire carrière:「出世する、名をあげる」のcarrièreは、無冠詞かと思いきや、Elle a fait une carrière remarquable.[彼女は目覚ましい出世をした。]などの場合に冠詞がついてくる。なぜこうなるかといえば、形容詞が付くことで同時に種類の不定冠詞uneがついたのだ。


124.【知識】le Royaume-Uni de Grande-Bretagne et d'Irlande du Nord[グレートブリテン及び北アイルランド連合王国] ちなみに、l'Écosseは「スコットランド」で、le Pays de Gallesは「ウェールズ」で、l'Irlande du Nordは「北アイルランド」。


125.【自虐ネタ:autodérision】Les Belges font beaucoup d'autodérision, d'autocritique.Ils se moquent d'eux-mêmes, d'être un petit pays, de n'avoir pas grand-chose à part le Manneken-Pis, les moules et les frites, le chocolat, la bière... [その上ベルギー人は、自虐ネタや、自分のあら探しも沢山やります。からかいの対象となるのは、自分たち自身、ベルギーが小さな国であること、ベルギーには大したものがないこと、小便小僧、ムール貝とフライドポテト、チョコレート、ビール・・・を除いて。]


126.【属詞の位置に数詞が来るときのde】動詞がêtreで、その後に数値(値段や人数)がくるとき、<être de 数値>の形になる。たとえば、Il ne faut pas oublier que les francophones ne représentent que 40% de la population belge qui est d'un peu plus de 11 millions.[ベルギーの人口は1,100万人ちょっとなんですが、忘れてはいけないのは、フランコフォンはその40%を代表しているに過ぎないということです。]とか、他にも、La taxe à la consommation est de 10%. [消費税は10%だ。]などがこれにあたる。


127.【表現】Tu as intérêt à te taire. [黙っているほうが身のためだぜ。]


128.【表現tandis que lui】Ses parents ont commencé à travailler dans un atelier de confection tandis que lui est entré à l'école primaire où il a très vite appris le français.[リーが小学校に入った頃、彼の両親は、既製服を製造する店で働き始めました。彼は小学校で、すぐにフランス語を身につけました。] ここで強勢形のluiは、両親との違いを強調するために使われている。


129.【表現issu de:出身である】les enfants issus de diverses communautés sont très nombreux dans ce quartier cosmopolite et ils avaient tous un surnom. [この様々な民族の暮らす地区には、様々なコミュニティー出身の子どもたちが多く、彼らもみな、それぞれあだ名を持っていたのです。] ちなみに、Français issu de l'immigration は、「移民系フランス人」。それに対して、Français de soucheは、「生粋のフランス人」。


130.【表現】atelier de confection: 既製服製造店


131.【接頭辞の<a->】apprendre「習得する、学ぶ」の意味だが、「教える」という意味もある。一見逆の意味を持つのは、接頭辞の<a->は「到達点」を表すため。apprendreは「(知識などを)prendreする到達点」に焦点がある単語で、その到達点が主語に到達するなら「学ぶ」となり、主語ではない側に到達するなら「教える」になる。「到達点」は違うとしても、「到達点」を意識しているという点で、「学ぶ/教える」は、同じapprendreを使って表現できる。J'apprends le français.[フランス語を学ぶ。]は、フランス語が主語に到達する。J'apprends le français aux étudiants.[学生にフランス語を教える。]は、フランス語が生徒に到達する。ただ実際には「教える」には基本<à 人>が付く。apporter[持ってくる/持って行く]、amener[連れてくる/連れて行く]も、なぜ同じ単語なのに逆の意味になるのかという問いには同じ理屈で答えられる。


132.【souffre-douleur:いじめられっ子】Certains enfants sont les souffre-douleur de la classe parce qu'ils ont des difficultés à étudier ou bien ils sont moqués pour leur physique. Et puis il y a des élèves qui sont rackettés par d'autres.[中には勉強が苦手だという理由でクラスのいじめられっ子になったり容姿をからかわれたりする子もいます。そしてまた、他の子にゆすられる子もいるのです。]ちなみにこういうイジメをbrimade:「(新人などの)いじめ」という。これは動詞brimerの名詞形である。


133.【知識:グザヴィエ・ドラン】Je vois où tu veux en venir: tu penses à Xavier Dolan, non?[何の話をしたいのか、分かりますよ。グザヴィエ・ドランのことを考えているんでしょう。]On parle de lui comme d'un réalisateur / acteur de génie. C'est vrai qu'avoir réalisé un film comme "J'ai tué ma mère" à tout juste 20 ans, ça tient du prodige.[彼は、才能ある監督・俳優として語られてますけど、たしかに「マイ・マザー」のような作品を二十歳ちょうどで撮るなんて、ほとんど奇跡ですよね。]Il a été récompensé plusieurs fois à Cannes avec le déchirant "Mommy" ou "Juste la fin du monde" qui a reçu le Grand Prix du festival en 2016.[カンヌ映画祭でも、彼はあの胸を引き裂く「マミー」などで何度も受賞していて、2016年には「たかが世界の終わり」でグラン・プリも獲得しています。]C'est sans aucun doute notre réalisateur québécois préféré et nous attendons toujours ses films avec impatience.[間違いなく彼はフランス人に人気のあるケベック人監督で、いつだって彼の新作は待ち遠しいのです。]カナダ人で映画監督であり俳優でもある若き才人のグザヴィエ・ドランの作品は『僕たちのムッシュ・ラザール』がおすすめである。というのも、この映画ではアルジェリアとカナダの関係が浮き彫りになるからだ。


134.【セリーヌ・ディオンにはフランス語のアルバム『フレンチ・アルバム』がある。】カナダ東部のケベック州はフランス系移民(フランス系カナダ人)の多い地域であり、人々はフランス文化に誇りを持ち、フランス語(カナダ・フランス語)を公用語としている。1968年、セリーヌ・ディオンはそのケベック州シャルルマーニュモントリオール郊外)で、ミュージシャンの両親のもと、14人兄弟姉妹の末っ子として生まれた。1995年のアルバム『フレンチ・アルバム』は、フランス語アルバムとしては史上最多売上枚数を記録した。


135.【表現:ménagé sa peine:惜しまず】Ses parents n'ont pas ménagé leur peine et leurs journées de travail étaient longues.[彼の両親は骨身を惜しまず働き、長い一日を送りました。]そもそもメナージュには「家事」という意味があって、「節約する」「大切にする」という意味もあった。


136.【féru de A: Aに夢中で】Maintenant, Li est un trentenaire féru d'informatique et avec deux copains, il vient de lancer une start-up qui doit développer des services à la personne.[現在、リーはコンピューターサイエンスに夢中の30歳で、二人の友人と共に、個人向けの各種サービス向上を図るベンチャービジネスに乗り出したところです。]


137.【知識:フランスにおいて中国系移民の出身地として有名なのは温州。そして、トンチン制度を利用してベルヴィル地区のたばこ屋兼バーを営んだりするのがクリシェ。】フランス語でWenzhou「温州」は、中国浙江省の海岸都市である。中国では1980年代に改革開放政策があったので、中国系の移民を多く出したのだ。パリのベルヴィル街の西側(メトロのベルヴィル駅やメニルモンタン駅があるほう)はものすごく坂の多い街で、「温州」という名前がついた中華料理屋が多かったりする。Ses parents profitant du système de la tontine ont racheté un bar-tabac au bas de la rue.[それから彼の両親は、トンチン制度を利用して、通りの低くなった場所にあるタバコ店兼バーを買い取りました。]C'est ainsi que de nombreux bars-tabacs sont de nos jours possédés par des descendants des Chinois issus de l'immigration.[今日でも、多くのタバコ店兼バーの所有者が、移民系中国人の子どもや孫たちであるのは、そんな事情があるからです。]トンチン制度は17世紀のイタリア人ロレンツォ・トンティから来ていて、彼はフランスに亡命してルイ14世のもとで互助的・相互扶助的な年金制度を作った。


138.【英語のhardは形容詞と副詞の用法があるが、フランス語は事情が複雑なことになっている。】例えば、Il a étudié dur, et a pu entrer dans une grande école de commerce et en parallèle, il s'est formé tout seul en informatique.[リーは猛烈に勉強し、商業のグランド・ゼコールに入ることができました。しかも彼は、それと並行して、コンピューターサイエンスも独学で身につけたのです。]のように、durが副詞「猛烈に」に意味で使われていることが分かる。しかし、これは会話体が主であって、フランス語にはdurementというれっきとした副詞が存在する。しかし、もちろん形容詞もあって、œuf dur:固ゆで卵のようにdurが形容詞の用例もたくさんある。


139.【文法:se faire + inf】il se faisait disputer par son père [彼は叱られたものだ]において、再帰代名詞seは他動詞disputer(人を叱る)の直接目的語になっている。しかし、Je me suis fait rembourser mes frais médicaux.[私は医療費を払い戻してもらった。]においては、は、再帰代名詞seはrembourserの間接目的語になっている。どちらの場合もinf.の主語を示したい場合は、parによって示すことができる。ちなみに、まれにinf.が自動詞でseはその主語という形もある。たとえば、Elle essaie de se faire maigrir[彼女は痩せようとしている]。この場合、par elleで動作主を表現するのはおかしい。


140.【知識:モントリオール】カナダのモントリオール(フランス語でモン・レアル)に初めてフランス人がやってきたのは、ポルトガル人が種子島に到着したのとほぼ同じ16世紀の前半の出来事である。モントリオールは、仏英のバイリンガルがとても多い街。


141.【表現:pour être précis】Sois un peu plus précis.[もう少しはっきりしてよ]


142.【接頭辞のpour-:完全に、徹底的に】poursuivre :追いかける、追い求める。


143.【表現:resterを使った非人称構文】① il reste à inf. à A[Aにとって~することが残っている]と② il reste A à B [BさんにAが残っている]を区別する必要がある。①Il nous reste à mieux connaître nos cousins québécois. [私たちはこれからケベックの「いとこたち」のことをもっとよく知らなくちゃならない。]①J'ai fini mon devoir. Il me reste à l'envoyer par mail à mon professeur.[宿題が終わった。あとはそれをメールで先生に送らなきゃならない。]①J'ai loué un studio. Il me reste à acheter quelques meubles.[ワンルームを借りた。後は家具をいくつか買わなきゃならない。]②Il me reste 3 jours de congés payés à prendre.[ぼくには有給休暇があと3日残ってる。]②Il ne reste qu'un seul objectif à Kei: gagner la finale.[ケイには、たった一つの目的しか残っていない。決勝に勝つことだ。]


144.【文法:相関語句という発想を身につけよう】Et nous connaissons mieux la France que vous, les Français, vous ne connaissez le Québec.[私たちは君たちフランス人がケベックを知っているよりも良くフランスのことを知っている。]この文は注意点が3つもある。①まず、この文の相関語句はmieuxとque+SVである。②そして、 vous, les Français, vousのところはいったいどうなっているのかというと、ひとつめのvousは強勢形である。ふたつめのvousは、que節内部の主語になっているのだ。③そして、que節内のneはあなたたちはケベックのことを知らないという心理的な否定が、比較文の中で現れた虚辞のneである。


145.【Ça vient とÇa va】Ça vient とÇa vaは何が違うのかというと、前者は、「これから大丈夫になるでしょう」というニュアンスで、後者は「今大丈夫です」というニュアンスなのだ。だから、Ça vient は、Ça va allerと互換可能な場合が多い。


146.【知識:ミュージシャンのストロマエ】Stromae est un chanteur belge né en 1985 de mère belge et de père rwandais.[ストロマエは1985年生まれのベルギー人歌手で、母親はベルギー人、父親はルワンダ人です。]En 1994, lors du génocide des Tutsi au Rwanda, son père et une grande partie de sa famille sont massacrés.[1994年のルワンダでのツチ族虐殺のとき、彼の父親とその家族の大半が虐殺されました。]Il connait un succès mondial en 2010 avec la chanson <Alors on danse>, et en 2013 la chanson <Papaoutai (Papa où t'es)> et <Formidable>.[彼は2010年の Alors on danse で世界的にブレークし、2013年の Papaoutai(パパはどこにいるの?)と Formidable を大ヒットさせました。]Il compose aussi pour les autres artistes, mais fatigué, il a pris une retraite anticipée.[ストロマエは他のミュージシャンにも曲を提供しているのですが、疲れてしまい、早めの引退をしてしまいました。]Cependant tout le monde espère et attend son prochain album.[みんなが彼の次のアルバムを期待し待っているのです。]


147.【知識:ennemi public numéro 1 】フランスにはennemi public numéro 1という映画があって、主人公は、Jacques Mesrine(ジャック・メリーヌ)という有名な犯罪者。


148.【単語】un Tokyoït:東京人、une Tokyoïte:東京の女性。


149.【単語】un soutien-gorge:ブラジャー(のどささえ)


150.【単語:サッカー基本用語】PSG(paris saint-germain)はパリのチーム。マルセイユのチームOM(オランピック・ドゥ・マルセイユ)のチーム・カラーは青と白。maillot(m.):ユニフォーム。domicile:ホーム用。extérieur:アウェイ用。écharpe(f.):スカーフまたは、(サッカーの応援などに使われる)タオルマフラー。


151.【文法:代名動詞の大過去】Je m'étais beaucoup attaché à mon neveu et j'étais triste de le voir partir à l'étranger.[(その時点まで)甥をとても可愛がっていたので(大過去)、(その時点で)甥が外国に行ってしまうのは寂しかった(半過去)。] je ne m'étais pas rendu compte à quel point Mehdi était un vrai Marseillais.[ぼくはどれほどメディが真のマルセイユ人かを分かっていなかった。]


152.【否定の冠詞deについて】Qu'est-ce que c'est une colonie de vacances?[colonie de vacances って何?] Comme tu le sais, en France, la plupart des mères travaillent.[知ってると思うけど、フランスでは大半の母親たちが仕事を持ってるでしょ。]Alors, pendant les vacances d'été, les enfants qui n'ont pas d'endroit où aller sont accueillis pendant un mois dans des centres de vacances où ils sont encadrés par des moniteurs et monitrices (souvent des étudiants) et ils font des activités tous les jours: promenades, pique-niques, excursions, visites culturelles, baignades, différents sports, jeux de pistes, chants, danses etc.[だから夏休みの間、行くところがない子どもたちは、1ヶ月間休暇村に滞在するの。そこでは男女の指導員(たいていは学生ね)がいて、子どもたちの面倒をみるわけ。毎日いろんな活動があって、散策、ピクニック、遠足、文化施設の訪問、水浴、様々なスポーツ、オリエンテーションゲーム、そして歌ったり踊ったりとか。]En principe, ils ne font pas de travail scolaire![基本的に、学校のお勉強は無しね。]←ここで、なぜtravailに冠詞がないのかというと、否定文で、「ない」というときには、deしか付かないからである。


153.【構文:autant A que B】Les soirs de Classico, c'est autant une confrontation entre deux équipes rivales et deux villes qu'un matche de foot.[クラシコパリ・サンジェルマンとオランピック・マルセイユの対戦)の夜、そこで行われるのはサッカーの試合であるのと同時に、2つのライバルチームの、そして2つの都市の対決でもある。]


154.【知識:la série de films TAXI】マルセイユを主な舞台とするアクションコメディ映画『タクシー』シリーズ。1998年から5作公開され、1~4作の主人公を務めたSamy Naceri(サミー・ナセリ)はアルジェリア系の俳優で、一方劇中の彼の恋人の父親は、アルジェリア戦争に参加したフランス軍人という設定。つまり、義理の息子と義理の父親が、戦争の敵方どうしというスリリングな設定なのだ。


155.【文法:知覚動詞の訳し方】il n'est pas rare de voir des incidents et des bagarres éclater entre les supporters.[侮辱の言葉はそこらじゅうで聞かれるし、サポーター同士の間でいざこざや乱闘が起きるのを目にするのも珍しいことじゃない。]知覚動詞 + 直接目的語 + inf.[直接目的語がinf.するのを○○する]と訳そう。この形になるのは、voir のほかregarder 、entendre 、sentir などがある。すべて、「直接目的語が動詞原形するのを○○する」という意味になる。Elle regarde les dizaines de bateaux quitter le port d'Amsterdam.[何十隻もの船が、アムステルダムの港を離れていくのを彼女は見る。]Dans le Midi, c'est agréable d'entendre les cigales chanter au crépuscule.[南仏で、黄昏時にセミが歌うのを聞くのは気持ちがいい。]Sur le bateau, je sentais le vent caresser mes cheveux.[船上では、風が私の髪を撫でるのを感じていた。]


156.【知識:インドのフランス植民地:インドにはかつて5つのフランス植民地があった。そして、ポンディシェリにはタミル人(Tamoul)が多くいた。】Quand ma mère était à l'école, elle apprenait par cœur les noms des cinq colonies généralement appelées <comptoirs>, que possédait la Compagnie française des Indes orientales en Inde: Pondichéry, Chandernagor, Mahé, Yanaon et Karikal.[母は学校時代、インドにおけるフランスの5つの植民地の名前を暗記したものだ。それらは、フランス東インド会社がインドに所有していたもので、一般には商館(長崎の出島にもあった貿易拠点)と呼ばれている。5つというのはつまり、ポンディシェリシャンデルナゴル、マーヒ、ヤナム、そしてカーライッカールのことである。]Ces possessions françaises ont été rétrocédées à l'Inde entre 1950 et 1954.[これらのフランスの領地は、1950年から1954年の間にインドに返還された。]Mais il reste encore quelques vestiges de la colonisation française en Inde.[けれどもインドにはなお、フランスによる植民地の名残がいくつか残っている。]C'est pourquoi il existe à Paris une diaspora indienne venue en grande partie de la région tamoule de Pondichéry.[だからパリには、多くはポンディシェリのタミル人地区からやってきたインド系の人たちによって形成される、コミュニティがある。]ここの、rétrocéderは、「~を再譲渡する、返還する」(接頭語 rétro- は「後方へ、遡って」rétrospectif 回顧的な、過去に遡る。rétrospective:回顧展)。ちなみにフランスは当初インドに関税権だけを返還して済ませようと試みたが失敗し、行政権も返還した。


157.【知識:フランス東インド会社関連の単語まとめ】La Compagnie française des Indes orientales:[フランス東インド会社]。要するに、「東インド会社」とは、政府から独占的な貿易圏を認められた特殊な貿易会社であり、植民地における貿易(搾取)と領土支配の拠点となった。


158.【知識:フランスの東インド会社の発展の歴史】【1604年】アンリ4世 Henri IV の時代に東インド会社が(イギリス、オランダの後に)設立された。【1664年】ルイ14世 Louis XIV 時代にフランス東インド会社の活動開始(←重商主義 le mercantilismeの時代)【1674年】インドの都市ポンディシェリがフランス領になる。【1757年】プラッシーの戦いで、インドの利権をめぐる英仏の戦争でフランスがイギリスに敗北→インドにおけるイギリスの覇権(l'hégémonie)が確定。プラッシーの戦いフランス革命の30年ほど前の事件である。【1947年】インド、イギリスから独立。【1954年】民族運動(le mouvement ethnique)の高まりにより、仏は最後まで残った植民地、ポンディシェリシャンデルナゴルをインドに返還←インドシナ戦争(la guerre d'Indochine)のディエンビエンフーの戦いでのフランスの大敗北の結果。なお、プラッシーの戦いは、同時期に7年戦争、フレンチ=インディアン戦争も行われており、これは英仏の植民地戦争の一環でもあった。


159.【tout +無冠詞名詞単数】Anandi est venue très jeune en France et a été élevée comme tout enfant français et ses parents adoptifs veulent lui faire connaître un peu de la culture de son pays d'origine qu'eux-mêmes apprécient.[アナンディは、まだとても若いときにフランスにやってきて、フランス人のどんな子どもとも同じように育てられた。養父母自身、アナンディの故郷の文化を愛好していて、二人はその幾分かをアナンディに知らせたいと望んでいる。]ここのtrès jeune は、主語のアナンディと同格で、実質的には「時」を表している(→とても若かったときに)。この無冠詞名詞単数にかかるtoutは、「他のどんな子どもとも同じように」という意味になっている。


160.【単数名詞にかかるtoutのふたつの意味:①どんな、②すべての、~全体】①à tout âge[どんな年齢でも]、①à toute heure[どんな時刻でも]、②toute le monde[全ての人々]、②toute la journée[一日中]。この①と②の違いは、①は無冠詞名詞に係っているのに対し、②は定冠詞を伴う名詞にかかっているということ。


161.【表現:qui dit 無冠詞A dit 無冠詞B:Aと言えばBだ。】Qui dit études dit travail.[勉強と言えば仕事]Qui dit Inde dit curry.[インドと言えばカレー]


162.【浮遊している名詞句は、意味上の仮定を表すことがある。】Un peu de poudre de curry sur des légumes sautés et l'on a un plat original.[炒めた野菜にカレー粉を振りかければ、オリジナル料理の出来上がりという訳だ。]


163.【表現:料理のソテーについて】おどろくべきことに、動詞のsauterには、「油で炒める」などという意味はない。しかし、それが過去分詞となった形容詞であるsautéには、「油で炒めた、ソテーした、」という意味がある。そもそも、自動詞のsauterは、「跳ぶ、跳ねる」という意味で、faire sauter A:で、「Aをソテーする(←フライパンの上でAを跳ねさせる)」なのだ。だから、Faire sauter la viande. [肉を炒めてください]とレシピには書かれている。これは、自動詞のsauterをあくまでも使っているということなのだ。


164.【知識:1828年からあるパリのショッピングセンターPassage Brady à Paris:ここは、インドの雑貨屋があって、ベンヤミンが夢そのもののようだと評した場所である。】Les parents d'Anandi l'emmènent parfois dîner dans un restaurant indien du Passage Brady à Paris où l'on trouve toute l'Inde en un seul lieu: boutiques de tissus, encens, restaurants.そこでアナンディの両親が、時折彼女を夕食に連れ出すのは、パリのパッサージュ・ブラディーにあるインド料理レストランへだ。このパッサージュ一ヶ所だけで、インドの全てと出会うことができる。布地を売る店、お香、レストラン。(なお、ここの接頭辞em- は、「どこかからの移動」に焦点を当てている。「到達点」が重要だったamener とは異なる。emmener 人 inf.は、「人を~しに連れて行く」という意味だが、ここでは<inf.>の位置に、dîner がきている。ここで問題になっているのは到達点ではなく、どこかからの移動なのだ。)ちなみに、ここで、toute l'Indeとなっており、これは、女性名詞単数定冠詞付き名詞にtoutがついている形だが、これだと、「どんな」ではなく「すべての」という意味になる。


165.【文法:同格の無冠詞】同格の場合、後にくる名詞は無冠詞になるのが原則。たとえば、Après avoir terminé ses études dans une grande école, elle a commencé à travailler dans une banque où elle a rencontré son futur mari, cadre commercial.[グランド・エコールでの学業を終えた後、彼女は銀行で働き初め、そこで未来の夫と出会った。彼は営業部の管理職だ。]などがそれにあたる。cadreが同格で無冠詞だからだ。ちなみに、ここで使われているcadre commercialは、営業部の管理職という意味である。cadreには管理職という意味があるのだ。


166.【単語:situation とplace の違い】situationは、社会などの情勢、個人の状況、地位、職などを表す語である。「地位、職」を意味する語としては、emploiが一般的で、placeは低い地位、situationは高い地位を表す語として使われる傾向がある。たとえば、Ils ont deux enfants maintenant, une bonne situation, un bel appartement près du canal Saint-Marin.[今、彼らには2人の子どもがいて、恵まれた職業と、サン=マルタン運河近くの立派なアパルトマンもある。]これは、高い地位として使われている用例である。


167.【単語:bobo】bobo<英語のbourgeois bohemianの略。Le terme de bobo signifie bourgeois-bohême.[この単語は、フランス語のbourgeois-bohêmeを意味する。]On le trouve déjà dans le roman Bel-Ami de Maupassant.[この言葉はモーパッサンの『ベラミ』(1885)にもう既に出てきてるんですよ。]日本語に訳すとすれば、「ボヘミアン志向の裕福な若者」となる。En effet, l'est parisien, quartiers populaires autrefois délaissés par les gens aisés, est maintenant prisé par les <bobos>, catégorie sociologique dont fait partie Leila, et elle le revendique pleinement.[確かに、パリの東側は、かつてはゆとりのある層からは顧みられない大衆的な街だったが、今ではそこに「ボボ」が住み着いている。「ボボ」とは、レイラ自身も属している社会学的な階層のことで、彼女もそれを十分自覚しているのだ。]ちなみに、ここでも、quartiers populaires には冠詞がない。これは、同格の無冠詞が効いているからなのだ。複数形なのは、街がいくつもないとパリの東側にならないからだ。ちなみに、パリで一番家賃が高くて人気なのは、パリの中心に近いアパルトマンである。


168.【文法:現在分詞の複合形には時制がない。】現在分詞の複合形というのは、それ自体に固定された時制があるわけではなく、主節の時制を基準として、それより前に完了したことのみを表す。だから、主節が複合過去なら、Après avoir のような完了不定詞と同じように、実質大過去となる。たとえば、Ayant été formée au lycée français de Beyrouth, Leila n'a eu aucun mal à s'intégrer en France.[ベイルートのフランス系の高校で教育を受け(てい)たので、レイラはフランスに溶け込むのに何の苦労もなかった。]などがその例である。現在分詞の複合形の基本的な形は<助動詞の現在分詞+過去分詞>だが、直前の文では動詞formerが受動態になっているので、過去分詞の位置にétéがきている。formerはここでは「(人など)を育成する、仕込む」という意味である。他の例だと、Étant arrivé en avance, j'ai pris un café au bistrot du coin.[先に着いたので、すぐ近くのビストロでコーヒーを飲んだ。]とか、Ayant déjà reçu les résultats de son examen, il a pu passer des vacances sereine.[すでに試験の結果を受け取っていたので、彼は晴れ晴れとヴァカンスを過ごすことができた。]などがある。両方とも主節が複合過去なので、Étant arrivé も Ayant (déjà) reçu も、実質的には(つまり意味的には)大過去を表現している。ただ、現在分詞の複合形それ自体が固定された時制を持っていると考えるのは間違いである。なお、この現在分詞の複合形の場合、étant は省略可能で、つまり、直上の文は、Étant arrivé en avance,ではなく、Arrivé en avance,でもよいのだ。(ただし、Ayant は省略できないので注意すること。)現在分詞の複合形の助動詞が、étantになるのは、場所の移動等の自動詞か、あるいは受身の場合だけなので、そのときはその助動詞を省略できるのだ。


169.【知識:フランスとレバノンの関係】Quelles étaient les relations entre la France et le Liban?[フランスとレバノンの関係って、どんなものだった?]- En 1860, la France est intervenue au Liban sous le prétexte de mettre fin à des troubles internes.[1860年、内乱を終わらせるという口実で、フランスはレバノンに介入しました。]Puis l'autonomie du pays a été garantie par l'Europe.[その後レバノン自治権は、ヨーロッパによって保障されました。]Lors de la dislocation de l'Empire Ottoman en 1920, le Liban a été placé sous mandat français par la Société des Nations, ce qui a entériné la séparation du Liban de la Syrie.[1920年オスマン帝国が崩壊すると、レバノン国際連盟(la Société des Nations)によりフランスの委任統治(mandat français)下に置かれました。その結果、レバノンとシリアは分裂することになったのです。]De ce fait les liens entre la France et le Liban sont très forts, même après l'indépendance en 1943.[こうした事実から、1943年の独立以降でさえ、フランスとレバノンはとても強く結びついています。]La communauté francophone est importante avec 35 établissements scolaires enseignant selon les programmes français.[フランス語コミュニティーは大きく、フランスのカリキュラムに沿って教育する学校が35にも上っています。]


170.【知識:移民用語(同化のニュアンス)】s'intégrer「統合される」と意味の近い語に、s'assimiler「同化される」があるが、s'intégrerがサラダボール的(トマトもレタスも形は残っている)な同化なのに対して、s'assimilerはるつぼ的(ミキサーにかけられて元の形はない)な同化なのだ。


171.【なぜ、否定のdeがつかないのか】on n'a plus le temps[もう時間がありません。]なぜ、この文では否定のdeにならないのだろうか。それは、もともとの肯定文avoir le temps:時間があるの冠詞が、leつまり定冠詞なので、否定になっても、「否定のde」にはならないからだ。


172.【知識:パリの大きさは半径6kmの円で、猪苗代湖とほぼ同じである。】ils se déplacent à vélo dans Paris.[彼らはパリを自転車で移動している。]という文の中で、à Parisではなく、dans Parisが使われているが、これは、パリを点ではなく広がりとして認識しているからである。猪苗代湖を点としてみるか空間としてみるかはスケールによるのだ。「半径6kmの円が点になるものか」と普通は思うが、ところがどっこい、言語は人間の認識の仕方の反映であって、世界そのものの反映ではないからこうなるのだ。


173.【知識:エコロジーについて】そもそも、「エコロジー」という単語自体は、19世紀後半(=1800年代の後半)にドイツで初めて現れ、フランスでは戦後、特に1960年代から次第に使われるようになった。80年代以降、環境保護運動は、政治勢力となる場合も出てきている。ちなみに、エコバッグのフランス語は、le sac réutilisableである。


174.【知識:パリには、建物の管理人はポルトガル人で、夫は石工というクリシェがある。】Maria ma gardienne d'immeuble (on ne dit plus la concierge) est, comme il se doit, d'origine portugaise.[マリアは、私が住んでいる建物の管理人ガルディエンヌ(今はもうコンシェルジェとは言わない)で、予想通りポルトガル人だ。]Son mari n'est pas maçon: ça serait trop cliché![彼女の夫は石工ではない。そのイメージはあまりにもお決まりのもの過ぎるだろう。](ここが条件法なのは、もしそうだったとすればというニュアンス。)ちなみに、パリのポルトガル人は、サラザールによる独裁政権から逃れてパリに移民してきた人々の子孫である場合がある。というのも、1960年代に、そして1970年代にも、相当数のポルトガル人がフランスに移民した。長く続いていたサラザールによる独裁、貧困、植民地戦争への徴兵などから逃れるためだったとされる。La population d'origine portugaise serait d'1,5 million actuellement en France.[現在、フランスにおけるポルトガル系住民の数は、150万人に達すると言われている。]という文で、1.5million の前にdeがついているのは、数詞が属詞の位置に来ているからである。


175.【文法:pourquoiと複合倒置】疑問副詞(quand, où, ...)を使った疑問文では、主語が名詞の場合、通常の疑問文とは違って、単純倒置でも複合倒置、どちらでも良いのだがpourquoi だけは例外で、必ず複合倒置にしなければならない。つまりどういうことかというと、例えば疑問副詞のquandの場合には、Quand viendra Marie?と単純倒置で言ってもいいし、Quand Marie viendra-t-elle?と複合倒置で言ってもいい。でも、pourquoiだけは、複合倒置でなければならない。つまり、Pourquoi les gardienne d'immeubles sont-elles souvent d'origine portugaise?でなければならないのだ。他にも例をあげれば、Pourquoi cette émission est-elle si intéressante?[どうしてこの番組はこんなに面白いの。]とか、Pourquoi les enfants aiment-ils tant les sucreries?[どうして子どもたちはこんなに甘いものが好きなの。]のように、必ず複合倒置でなければならないのだ。


176.【同格の無冠詞】Maria et Antonio ont pu acheter une villa au Portugal où ils vont passer les vacances d'été, villa qu'ils louent lorsqu'ils ne l'occupent pas, aux habitants de l'immeuble![マリアとアントニオは、ポルトガルに別荘を買うことができた。夏には二人してそこにヴァカンスを過ごしに出かけ、自分たちが使っていないときには、建物の住人達に貸し出している。]


177.【単語:ブルーカラーとホワイトカラー】travailleur(s) は形容詞だと「働き者の」という意味で、名詞だと「働き手、労働者」という意味になる。ただしスペルは同じ。なお、ouvrier はブルーカラーで、employé はホワイトカラーを指す傾向がある。cadre は管理職。


178.【前置詞:outre】Outre une villa, elle a un yacht.[別荘に加えて、彼女はヨットも持っている。]outre cela:それに加えて


179.【表現:sans rien】Certains sont arrivés en franchissant les frontières européennes, d'autres en traversant la Méditerranée sur des embarcations précaires, et ils se retrouvent sans rien, totalement démunis sur le pavé de Paris, livrés aux intempéries, aussi bien au froid l'hiver qu'à la canicule l'été.[ヨーロッパの国境を越えてきたものも、間に合わせのボートで地中海を渡ってきたものもいる。そして彼らは、何一つ持ち物などなく全くの身一つで過酷な夏の猛暑と冬の寒さという厳しい気候にさらされ、パリの石畳を踏んでいるのだ。]sans rien は、二重否定ではなく否定なので注意。また、certains A, d'autres Bは、「ある人達はA、またある人達はB」の意味になる相関語句である。d'autres の後には、sont arrivés が省略されている。またここでは、en franchissant ~ と en traversant ~ が対になっている構造を見ぬこう。要注意の語句としては、franchirが「~を越える」という意味で、Elle a franchi un mur. [彼女は壁を乗り越えた。]のように使い、embarcationは「小舟、ボート」という意味で、元の動詞は、embarquer 「船や車に乗る、乗せる」という意味である(←もともとbarqueが小船という意味なのだ)こと、そしてprécaireは形容詞で「不安定な、不確実な、間に合わせの」という意味で、un bonheur précaire [かりそめの幸福]というふうに使うこと、これらだけは抑えておこう。


180.【文法:時や条件を表す副詞節においても未来形が使えるてしまうのがフランス語が英語と違うところ】Il communique avec sa famille restée au pays, espérant pouvoir la faire venir en France lorsque sa situation sera régularisée mais il reste très inquiet pour tout le monde.[国に残っている家族と連絡は取っているし、もし自分の滞在許可が下りたら、家族をフランスに呼び寄せられればと思っているけれど、みんなのことがとても気がかりだ。]例えばこの文のlorsqueの節には単純未来形が使われている。


181.【文法:同格でも無冠詞になるときと冠詞が付くときがある。】①elle a rencontré son future mari, cadre commercial.[彼女は将来の夫、営業の管理職と出会った]この①の場合に使われているのは、無冠詞の同格である。しかし、②Elle ne sait faire que des œufs brouillés, le plat le plus simple![彼女が作れるのはスクランブル・エッグだけ、一番簡単な料理。]この②の場合に使われているのは冠詞ありの同格である。基本、同格は無冠詞(①)のはずである。では、①と②でどう違うのかというと、同格名詞に定冠詞が付いている②のような場合は、後に続く名詞が前の名詞の単なる修飾ではなく、それ自身として内容を持っているときの形なのだ。①のような、「将来の夫」が「営業の管理職」というのは、事実の付け足しだが、②のような、「一番簡単な料理」にはそれ自体に内容があり、「スクランブル・エッグ」がどんなものであるかということについての筆者のさらなる主張が入っているのだ。


182.【文法:倒置を見ぬこう】À l'heure dite, tous les invités étaient présents à l'entrée de l'église lorsque le prêtre, noir et tout de blanc vêtu, a fait son apparition.[定刻には招待客全員が教会の入り口に集まっていた。そのとき現れた神父は、全身白い服を着た黒人だった。]この文は面白い構造をしている。というのも、vêtir「~に服を着せる」という動詞の過去分詞があるわけだが、vêtu de blanc(白い服を着た)という表現が、toutによって強調され、なおかつ倒置されてnoirと共に神父le prêtreにかかっているのだ。よって、この神父は、黒人であり、全身真っ白な服を着ているのであって、黒と白の服を着ているのではないのだ。


183.【表現:A dite+形容詞:~とされるA】l'immigration dite économique 経済的理由で移民してきたとされる移民


184.【文法:絶対分詞構文におけるétantの省略(複合形の現在分詞étantの省略は可能)】Le premier moment de surprise passé, les habitants sont en général très aimables et nous accueillent bien. [最初はびっくりされますが、それが過ぎてしまえば、住民の方々は概してとても親切で、私たちを歓迎してくれます]そもそも、ここの分詞節に省略されている語を補うと、Le premier moment de surprise étant passéとなる。それで、主節の主語は、les habitantsで、分詞節は独自の主語Le premier moment を持っているのだからこれを絶対分詞構文と呼ぶのだ。ここでは分詞構文が「時」を表しているが、一番よく使われるのは「理由」を表す用法である。例えば、Le courage me manquant, je n'ose pas lui parler.[勇気が無くて、彼に話しかけられない。]などがその例で、これは主節の主語は je だが、分詞節の主語は Le courageなので絶対分詞構文である。


185.【表現:se montrer +属詞】C'est à nous de nous montrer impliqués et de nous intégrer dans ce nouveau tissu social.[今度は私たちが、ここに溶け込んでいることを示し、この新しい社会組織の一員になる番なのです]↑この文が精読できるためには以下の3つのことに注意しなくてはならない。まずは、①c’est à 人 de + inf. で、「<不定詞>するのは(人)の番だ」という意味であること。そして、ここでの前置詞 à は、動詞原形の意味上の主語を示す働きをしているということ。例えばC'est à toi de décider.[君が決めるべきだよ。]C'est à moi de t'aider.[今度は私が君を助ける番ね。]などの用例がある。次に、②se montrer + 属詞で、「自分が属詞であることを示す」という意味になること。そして最後に、③impliquéは、impliquer(~を巻き添えにする)の過去分詞なので、ここでは「全体の一部をなす」という意味になること、である。


186.【知識: mariage pour tous】mariage pour tous(万人のための結婚)は、実質上、同性婚、および同性カップルが養子を取ることを可能にした法律で、2013年に制定された。映画『フレンチ・ブラッド』には、この法案に反対する保守的・熱狂的なカトリック信者集団が登場する。


187.【文法:属詞の位置に職業が来るときは無冠詞】Le manque de vocations en France est un problème récurrent alors qu'en Afrique, devenir prêtre assure le logement et le couvert.[フランスでは、聖職者の不足が繰返し問題になっているのだが、一方アフリカで神父になることは、住居と食事が保証されることを意味する。]まず、①Le manque deの後は無冠詞になる。例えばle manque de sommeilなら[睡眠不足]という意味だし、le manque d'imagination だったら、[想像力の欠如]という意味になる。なおvocationsは、ここでは聖職者という意味。次に②prêtreが無冠詞なのは職業を表す属詞だから。そして③assurerは、元来「sûrにする」という意味だから、「~を保証する」という意味になる。④最後に、ここで使われているle couvertは、「食卓用具、揃いのナイフとスプーンとフォーク」という意味だが、ここではle logement et le couvertという名詞句で、比喩的に食事を意味している。


188.【①année と②anのなにが違うのか】そもそも基本的な意味として、①annéeは、暦の上の1月1日から12月31日までを表す。日本でいう「年度」のようなニュアンスが近い。それに対して、②anは、時間の長さとしての「1年」を表す。たとえば、①la fête de fin d'année[年末の宴]に対して②Une fois par an[一年に一度]となる。また、①année には形容詞などを付けることができる(ces dernières années[ここ数年])。しかし、an は、原則として<数詞 + an>という形でのみ使い、原則としては普通の形容詞も指示形容詞も付けることができない。以下の対比を見てみよう。annéeは、①cette année[今年]、①la nouvelle année[新年]、①l'année scolaire[学年度]のように使えるのに対して、anは、②2 ans de notre vie[私たちの人生の2年]、②il y a 3 ans[3年前]となっている。


189.【単語:humeurとhumourは異なる】humeurはれっきとしたフランス語で、気分・機嫌という意味だが、humourは英語からきた外来語で、ユーモアという意味だ。